マグナブラバン〜遍歴のイントロダクション

商品名: マグナブラバン〜遍歴の勇者
発売日: 1994年 11月18日
発売: アスク講談社
開発: 株式会社レナール(現:株式会社アストロール
価格: \9800-
ジャンル: ロールプレイング・ゲーム
媒体: スーパーファミコン用バックアップ付ROMカートリッジ
容量:
特徴(公式): ダイナリアル戦闘システムによる、リアルタイムバトル。
特徴(非公式): 小市民ノリのホノボノRPG。


 この作品は、スーパーファミコン用に発売された数ある雑多なRPGの中の一つである。当時としては取り立てて売れる要素もなければ何の話題性もない、小さな小さな存在であり、タイトルも「マグナブラブラ……何だそれ?」と、開発メンバーにすら覚えにくいと不評で、殆ど誰にも知られないままゲーム史の闇に消え去る運命にあったゲームである。
 ――しかし!
 中古ゲームソフト専門誌、「ユーズド・ゲームズVol.2」の「マイナーゲーム特集」と言う名誉なのか不名誉なのか分からない記事で取り上げられた際に、何やら異様な反響が起こり、その後Vol.4での支持アンケートではロマンシング サ・ガに並ぶ堂々の9位、Vol.5には開発スタッフのインタビューまで掲載されるという、不可解な人気が起きる。その後の中古市場では価格が上がり、生産数が少なかった事もあってなかなか入手困難なレアソフトとなる。
 誌面では「小市民RPG」という何とも形容しがたいコメントで紹介され、秋葉原インタビューでは知名度2%というブッちぎりのマイナー度を誇っていたのだが、読者投稿による感想では主に登場キャラクターに人気が集中していたようで、ゲームシステムよりも、その脳天気でハチャメチャな、それでいてホノボノとした主人公たちのノリが受け入れられたようである。
 ただ、スタッフインタビューによると、主人公たちの行き当たりバッタリな部分は、どうやら開発チームのメンバーの生き写しであったらしい事が伺える。

 発売中には何の評判もなかったのに、中古市場で評価されるというハズしたあたりが実にこのゲームらしい運命だが、本来ならワゴンセールの隅で見向きもされず朽ち果てる部類のゲームが再評価されるにあたっては、何かプレイヤーの琴線に触れるものがあったのかもしれない。

 ゲームシステムは「ダイナリアルバトル」と称するリアルタイム戦闘で、当時としてはまだ珍しい作戦入力による自動戦闘システムだったが、ゲームバランスがこなれてなくて完成度は低いと言わざるを得ない。しかしながらそれを補って余りあるキャラクターの魅力とシナリオの評価が、この作品をただのクソゲーとしては捨て切れぬカルトゲームに仕上げている。そのキャラクターたちへの愛着のため手放したくなくなるのだろうか、中古市場でも玉数が少なく入手困難さを極めるソフトである。

 開発にあたった(株)レナールは、現在は(株)アストロールと改名、当時の〈マグナブラバン〉開発スタッフは今はもう残っていないらしい。
 (株)レナールは、

モンスタープロ レス (PC-E/アスク講談社/1991)
サンスポフィッシング 渓流王 (SFC/イマジニア/1994)
リクルートシミュレーション 就職ゲーム (SFC/イマジニア1995)
峠伝説最速バトル (SFC/ビーピーエス/1996)
ガンプル (SFC/アスキー/1997)
 と言った、一癖も二癖もある作品ばかりを開発してきたメーカーである。タイトルを聞いて「アレもコイツらの仕業か!?」と思った人は鋭い。味のある作品を多数輩出してきた(株)レナールのスタッフによる最後の作品は発売こそアストロール名義になったものの、おそらく

カクテル・ハーモニー〉 (PS/アストロール/1998)

 であろう。
 特に〈マグナブラバン〉〈就職ゲーム〉〈カクテル・ハーモニー〉の3作は、反則スレスレのインパクトがあるので、ゲームマニアは話の種に一度は触っておくのも良いかもしれない。ただし、かなり好みが別れる事となるだろう。
 もちろん、今となっては何れも入手困難である。

 現在、〈マグナブラバン〉のグラフィッカー杉浦俊郎氏はバンプレストで〈スーパーロボット大戦シリーズ〉でグラフィックチームの一員として活躍、脚本の高山克彦(現:高山カツヒコ)氏は〈ストラトス・フォー〉などアニメの脚本に携わっている。音楽の佐藤 天平氏は、数々のゲームミュージックを手がけただけでなく、デジタル・ミュージック・アーティストとして様々な音楽活動を展開している。

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